暁天の星


思えば、どんなメンタルをしてるんだと思うほどアキラは飄々としていた。



それがまた格好よく見えたんだけど。



「ごめんなさい…。聞き出して。」

「ははっ!何で謝ってんのよ。今はアンタたちいるし。それが嬉しいから。」



多分、晃は本心でそう言ってくれてたよね。



それが羨ましくてさ。


僕にはどうしても真似できない、晃の持つ心の強さに憧れたっけ。




「……でも、嫌なこと思い出させちゃったかなって。」

「…どんなに嫌な過去でも、それが今に繋がってると思うんだよね。もちろんそれだけじゃないんだけどさ。」

「…どうゆうこと?」

「分かりやすくしちゃうと、今のアンタは、あの素敵な思い出とこの素敵な出来事とプラスして、こういった過去があるから、今の那月でいられるってことかな?」




うーん、と頭を抱えながらアキラは僕に出来る限り説明してくれた。




「つまり、嫌な過去でも今に繋がってるから否定しちゃいけないってこと?」

「ははっ。そこまでは言わないし、それは那月の自由。那月の気持ちは那月のものだから。」

「難しい…。」

「ま、要はどんな過去でも今の那月を創ったのに変わりはないんだよ。でも、その過去に含まれてるのは嫌なものだけじゃなくて、素敵な思い出だっていっぱいあるよってこと。」



この言葉を理解するには、僕はまだ幼すぎて。


全てを許して受け入れる器なんて持ち合わせていなかった。



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