暁天の星
アキラは一通り話し終えた後に、僕を部屋まで案内してくれた。
この家には1人一部屋用意されている。
プライバシーも守れるようにとのことらしい。
2階に各々の部屋があるなんて、デカい家だなあと何回も思った。
階段を上りながら僕の少ない荷物を肩にかけたアキラに問いかける。
「この家って誰のなの?」
「あー、わたしの知り合い。貸してくれてるの。でももうここには住まないし、好きにしてくれていいって言われてるから、何も気にしないで大丈夫だよ。」
適当…。
アキラはそのままずんずん進み、一つのドアの前で止まって扉を開けた。
「ここが那月の部屋〜〜!」
西陽がよくあたるその部屋は、これから僕がお世話になる場所。
「好きに使ってね。足りないものとかあれば遠慮なく言うこと。」
グギュルルルル〜〜。
………。
うんと返事する代わりに、僕のお腹は盛大になった。
シンと静まり返った部屋に響き渡った滑稽な音は、僕とアキラの目線を自然とお互いに誘導でもしたのだろうか。
ただ僕は、人間の生理現象をここまで恨めしく思ったことはない。