暁天の星
天弓
【龍平】
那月が家に来てから8日目の今日。
この1週間、顔が緩みっぱなしだった里香は、今日の朝から輪をかけて笑顔が溢れている。
「リュウ〜。これどうしたらいい?」
原因は颯太と菫が持ってきたこの横断幕にある。
『あたらしいかぞく なつき』と汚ねえ字で書かれたコレは、さっき颯太と菫が一生懸命書いたもの。
つまり、今日は那月の歓迎会が開かれるわけで、我が家では朝から慌ただしく準備がされてる。
那月が家に来た初日にみんなで飯は食ったけど、歓迎会はちゃんとやる。
理由をつけて騒ぎたいだけなんだけどな〜。
それぞれ役割を任されていて、俺は颯太、菫と共に装飾係らしい。さっき言われた。
今は寝てて静かな妃那を監視しつつ、作業を進める。
里香はご馳走を作るとキッチンに入り浸り中。
仕事がある晃は、夜までには帰ってくると言って、早朝に家を出て行った。
肝心の那月はハルが連れ出している。
男同士の話がしたいとか何とか適当なことを言ってたっけ。
「上につけるからお前ら手伝え」
「りょーかいです!!」
ドタドタ周りを駆け回る2人が可愛い。
本当こいつら仲良いな〜。
「リュウ。かたぐるま。」
「あたしも!かたぐるま!」
「もう重い。」
「「えーーーー」」
「はい、手伝う。」
ブーブー言いつつ手伝ってくれるからな、おんぶならやってやろう。