暁天の星
口下手な俺は、これ以上会話を広げることができなくて飲み物に手を伸ばした。
「…さっきさ、ハル、僕になんであの家に来たのかって聞いたじゃん。」
なんだ?急に。
まあ聞いたけど。
「僕、家が嫌いで。親が嫌いで。よく夜に家を抜け出してたんだ。」
「へえ。」
「それで知らないオジサンに襲われてる時に、たまたまアキラが助けてくれたの。」
知らなかった那月の事実。
なんでコイツが話す気になったのかも分かんねえけど。
何かを打ち明けられるのならそれでいい。
那月は頼んだココアを見つめながら、話を進めた。
「僕は自分が1番不幸だって思ってたのに、アキラは、僕のことを大変だって思う人もいるし、たかがそんなことって思う人もいるだろうって言ったんだ。」
…晃が言いそうな言葉だ。
「……僕、びっくりしちゃって。そんなこと、思ったこともなかったから。」
眉を下げて那月は笑った。