暁天の星
【ソウタ】
シリウスがある。
見上げた空に光るソレは、俺を懐かしさで包むようだった。
奴が綺麗な夜はどうも好きになれない。
この気持ちをどう消化したらいいんだろう。
綺麗なものとして残しておくことを1番望んでいるのに。
嫌味に聞こえた?
ごめん、でもただ純粋に嫌味でいいよ。
街灯が鬱陶しくて目をそらす。
月明かりを掻き消す青白い光は、昔からどうも嫌いだった。
アンタもだろ?
街灯が明るくて、星が見えない。
月の色がわからない。
こんなんじゃ、真っ直ぐ歩けない。
なんでだろう。
真っ直ぐ歩けと、俺を導いてくれる星がもうない。
そんな理由にならない言い訳を、いつまでも引きずって。
ああ、そっか。
俺は今、結構ヤケになってるのか。
それともお前に怒ってんのかな。
ただ、今の俺を見て、お前は何て言うだろう。