暁天の星
金に光る倖という文字を覗き込んでいた僕に、あどけない笑顔を向けたのは菫ちゃんだった。
「ねえねえ。ナツキは幸せ?」
「えっ?」
そんな突拍子のないことを言ってくる。
急な質問に頭が真っ白になったけど、スッと血の気が引くように僕は冷静だった。
幸せかどうか…。
分からなくて答えられない。
「すぅはねぇ、ナツキと仲良くなりたいな。」
ドクンと心臓の音がした。
全身が熱くて、言葉がうまく出てこなくて。
ニコニコとした満面の笑みが、心をぎゅっと締め付ける。
仲良くなりたい。
誰かにそう思われるのが初めてで、嬉しくて、少し恥ずかしくて。
「うん。ありがとう…。」
こんなことしか言えなくて。
でも、菫ちゃんがそんな僕にかけた言葉。
「ナツと仲良し!」
君のたった一言が、嬉しかったよ。
嬉しいって素直に言えなくてごめんね。