暁天の星


「早退したこと誰か知ってんの?」

「リカちゃんが知ってるよ。」




そうか。



「あとで晃にも言っとけよ?」

「うん…。」



とりあえず俺はスウェットに着替えてワイシャツを洗濯機の中にぶち込んだ。



里香がダウンすると色々とやることが増えるからその確認をしなきゃなんねえ。



ま、普段里香がどんだけ家事やらなんやらやってくれてるってことなんだけど。




カレンダーに記入された送迎表を見て、里香が迎えに行く予定だった穴を俺が埋める。



げっ。


今日幼稚園の日じゃねえかよ…。



颯太はいいけど菫を大人しく連れて帰るの大変なのに。




ん?


なんか焦げ臭い匂いがした。



慌ててキッチンの方へ目を向けると那月が使ってるフライパンから煙が上がってる。




「火傷は!?」

「ご、ごめんハル。急に煙が…。」

「そんなんいいから。怪我してねえ?」

「うん…。」





火を止めて焦げた料理をフライパンごとシンクに移動させた。




「もういいから。部屋行って寝てろ。」

「え、でも…。」

「お前も早退したんだろ?病人は料理作るの禁止だから。」



無理やりキッチンから追い出して那月を部屋まで引っ張った。


ジャージに着替えさせてベッドに放り込む。



「腹は?痛くねえ?」

「うん。」

「食いたいもんとか飲みたいもんあったら言えよ?一応今から昼飯作るからできるまで待ってろ。」



頭をクシャッと撫でて那月の部屋を出た。



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