暁天の星
刹那
【龍平】
ドアが閉まる。
全員の荷物を確認してチャイルドシートのシートベルトを締めた。
「じゃ、行くよ。」
「はーい!」
菫が晃の問いに元気よく頷いて、8人を乗せた車はゆっくり発進した。
晴れた日曜日、俺たちは動物園に向かうため晃の運転する車に乗っている。
「リカ〜…。」
「ん?どうした?」
俺たちは月に一度、全員で出かけることが恒例だ。
那月が来てから8人揃って出かけるのは今日が初めて。
何だかまだ落ち着かなさそうな那月は窓の外を盛りに眺めている。
「おしっこ…。」
「え!?漏れちゃう!?」
菫が突如こんなことを言い出したおかげで、車内は出発から10分も経たずして騒がしい。
「もうする!?我慢できる?」
里香も慌てふためいて解決策を探すけど、トイレに行く以外方法はないわけで。
「おい、菫。お前絶対すんじゃねえぞ。まじで頼む。」
確かにここで爆発されたら色々と大変だ。