暁天の星
車に揺られて到着した目的地。
休日だから人が多い。
「着いたあ!」
「ぼくペンギンが見たい!」
「すぅはシロクマ!」
「あたしイルカ!」
水族館に行った方が良かったんじゃねえかと思う。
「那月は?」
晃の問いかけに、みんなの視線が那月に集まる。
「ライオン、かな…。」
「おっ、いいねえ。じゃ、最初はサイ見に行こうか。」
晃の発言に寝起きのハルが顔をしかめる。
「お前の好みじゃねえかよ。」
「よくね?サイ。」
「後でな。まずはライオン行くか。」
ハルは今にも走り出しそうな菫の手を引いて、ライオンがいる右方向へと歩を進めた。
里香と那月も颯太と手を繋いでその後を追う。
颯太は右手を里香、左手を那月と繋いでいて心底嬉しそうに笑みを浮かべているのが横顔で伺えた。
「お疲れ。」
運転という一仕事を終えた晃に声をかける。
「ありがとう。妃那、いいの?」
俺に体重を預けて眠る妃那。抱っこ紐に支えられながら眠る姿は愛くるしい。