暁天の星
【リュウヘイ】
シリウス、か。
それは今日も新たな夜を連れてくる。
視界から離しても、焼きついた青い光が消えてくれることはない。
闇夜へと誘う白い月が、心のずっと奥にある気持ちを簡単に引きずり出す。
見てくれだけで、内側では何も成長してない自分の弱さに腹が立った。
お前みたいに強くなれないよ、俺。
もし僅かな間でもあの星がこの手に戻ってくるなら、俺はどうしただろう。
こんなこと言ったら笑われるかな。
けど、その瞬間が終わっても、俺はその手を離すことなんてできないんだ。
夜の空気が切なさを含んで背中を通り抜ける。
無数の光を掴みたくて、掴めなくて。
ああ、全てが幻だったのかな。
だってお前が言ったはずの言葉が、この手から滑り落ちていきそうなんだよ。
下弦の月明かりが眩しく感じた。
お前みたいに格好良く生きることなんて、俺はできねえけど。
幾千に煌めく星が俺の背中を押してくれてる。
今はそれだけで頑張れるから。