暁天の星


「じゃあ、特別にあたしを頼ってもいいよ?」

「はあ?」



こんなこと言うあたしも捻くれてるか。




「てめえコラ。ナメてんのか。」

「血の気が多いなあ。」

「俺だけお前にもたれたって、お前が重くなるだけだろ。」



ん?


一瞬、聞き間違いかと思った。




「どういうこと?」

「俺とお前はお互い寄り掛かってる存在ってことだよ。」




パッと横を見る。



太陽が沈むのはどうしてこんなに速いんだろう。


さっきまで照らされてたハルの顔が暗くなって。




今、あなたの心の色をあたしは上手に受け取れているんだろうか。





「他の誰かから見たら、ただ傷を舐め合ってるだけかもしんねえけど。お互いに寄り掛かって補ってる、今はそれでいいんだよ。」





ねえハル。


あなたの瞳の奥に今誰か映ってる?




「ハルは誰か、手に入れたい人でもいるの?」

「お前は違えな〜。」

「ははっ、失礼だな〜。」




その人をあたしも一緒に、大事にしたいよ。




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