暁天の星


「でも、菫は幼稚園に行くことがお仕事なんだよ?」



僕も学校に行く準備をしながら、里香ちゃんと菫ちゃんの会話になんとなく耳を傾けた。



「嫌だ。」



話が平行線で拉致があかないと思ったのか、泣きそうな菫ちゃんを抱きかかえた里香ちゃんは、ダイニングテーブルに菫ちゃんを座らせた。



「どうして嫌なの?」



首を横に振って、もう何も言わなさそうな菫ちゃん。


里香ちゃんはそんな菫ちゃんを見て、リュウを呼びに行くんだろう。




オネショをした妃那ちゃんをお風呂に入れているリュウには極力声をかけたくなさそうだったけど。




「ハル、リュウ呼んでくる。ちょっと頼むね。」



ご飯も食べようとしない菫ちゃんは明らかに普段と様子が違って見える。


菫ちゃんも菫ちゃんの世界で何かと闘っているんだ。



そんなに小さな体で。




ただ僕は、菫ちゃんを助けるようなことは何もできない。




お利口に1人で黙々とご飯を食べてた颯太を椅子から降ろした。




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