新・鉢植右から3番目
観察、だ。あははは、観察してら。
私はニヤニヤと笑って、ちょっとは大きくなったでしょ?と言う。彼女はにんまりと笑って頷いた。
「お仕事お疲れ様。コーヒーでいいの?」
私がそう聞くと、うん、砂糖なしでね、と言いながら奈緒がダイニングテーブルにつく。ゆっくりと吐き出したため息は重く、外見ではそうは見えないが相当疲れているようだった。
申し訳なく感じた。私ったら、一体何悩んでんだっけ?状態よ、本当に。
「忙しいのよね、ごめんね疲れてるときに」
そう言うと、奈緒はちらりと私を見てふん、と首を振った。そしておもむろに口を開く。
「で?一体今度は何事なの?娘が生まれると同時に起こることといえば、普通は浮気よね。まさかあの超淡白男が不倫でもしてるってーの?」
それなら間違いなく面白い!そう断言する奈緒を、私は呆れて振り返る。・・・面白いって。いや、面白くねーでしょ、それ。
「残念ながら違います。ヤツはあくまでもヤツで何も変わらないのよ。そうでなくて、問題は私よ!」
「あん?」
器用に片眉だけをあげて奈緒が聞き返す。だから私はコーヒーを彼女の前にずずーっと置いて、話し出した。