新・鉢植右から3番目


 そして今、ダンナに抱いて貰いたいなら(そして自力で濡れないならば)それを使え、そう言っているのだ!目の前に立つこの女は!

「そういうことじゃないのよおおお~っ!!さ、さ、触られたくないのよ、あいつに!まずそこよ~!!」

 私が驚きのあまりに過呼吸になりかけながらそう叫ぶと、奈緒は前でニヤニヤと笑っている。それからまた品なくフンと鼻で笑って言った。

「─────要するに、キッカケが必要なだけでしょうが」

「き、きっかけ?」

 よく判らなくて首を捻る。すると奈緒は、にやけ顔をパッとやめて真面目な顔で言った。

「あんたに余裕がないのよ。恋愛感情を忘れてしまってるの。それは普通で仕方ないことだと思うけど、それが嫌なのであればホルモンバランスを凌駕する勢いでヤツに惚れ直すしかない!何か────────何か、そうね、男っぽい、これが女と違うわ~ってところをヤツに見つけることが出来れば、あんたが惚れなおして、一件落着なんじゃあないの?」

「──────────」

 ・・・・おおおー!!って思った。おおおおおお~!!って。さすが奈緒だわ!鮮やかな分析!そう思って、拍手までした。

 嫌悪感をなくすためには脳内を恋愛モードにすればいい。そのためには、相手の男に惚れ直せばいい!成る程!

 ぱんぱかぱーん!と頭の中でファンファーレが鳴ったほどだった。超理論的だわ、奈緒様!

 ・・・だーがしかし、駄菓子菓子。私は一瞬で現実に戻り、真顔で停止した。

 どうやってそんな要素を見つければいいのだろうか。・・・惚れ直す?あの世紀のダレ男に??


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