新・鉢植右から3番目
私が新たに頭を抱えだすと、前から奈緒が身を乗り出して私の頭を人差し指でつんつんとつついた。それから、実に嬉しそうな声で言う。
「ねえ、都が触らないでって言った時、あいつは傷付いたの?」
へ?私は怪訝な表情を作って顔を上げる。
何なのだ、この嬉しそうな顔は?頭の上にハテナマークを浮かべたままで、とりあえず私は質問に答える。
「え?───────えーっと・・・うん、そう思ったのよ、私は。だからヤバイって思って・・・」
「呆然としたってこと?」
「は?そ、そうね。目を見開いてたわ」
ゲラゲラゲラと、いきなり奈緒が笑い出す。頭の中では呆然とした漆原大地、を思い描いているようだった。あはははは!あの男が呆然だって~!!何て唾まで飛ばして笑っている。
・・・煩いぜ。娘が起きてしまうではないの。私は前でむすっとしたままで爆笑する女を眺める。ちょっと私、それどころじゃないんだけど。そんな心境で。たったいま、新たな悩みが立ちふさがったのだから。
すると更に楽しそうな、嬉しそうな顔になって、奈緒が言った。
「都~!そこのとこ、もうーちょっと詳しく」
漆原が目を見開いて~!!ゲラゲラゲラ。話しなさいよと言いながらも笑いが止まらないらしい奈緒を見て、私は多分初めて夫に対して同情心を持った。
・・・ああ、全く。
私はため息をついて、床の上に転がった。