新・鉢植右から3番目
「おーい、風邪引きますよ~」
・・・よしよしよし、嫌じゃないわよ~!!
思わず口元が緩んだ。ヤツは私にほっぺたを引っ張られたマヌケな顔のままで、まだぐーすか寝ている。
「大地くーん。起きなさーい、おーい」
呼びながらもう片方の手で肩も揺さぶる。嫌じゃない。そして、ヤツは起きない。びよーん、ゆさゆさ。嫌じゃない!ヤツは起きない。びよ~~~ん、ゆっさゆっさ。
────────もう!
「こうなったら実験台だわ」
私はそう呟いて、ヤツのほっぺを引っ張るのをやめる。両目がしっかり閉じられているのを確認したあと、ゆっくりと自分の顔を近づけて行った。
寝てしまった世界最強の面倒臭がりを起こすのは無理だと判っていた。
だから、とりあえず自分が出来る範囲で確かめようと思ったのだ。
それで、眠り姫ならぬ眠り王子・・・とは言えないわね、ええと~眠り・・・おじさん・・・いやいや、眠りこけたオッサン(超がつく面倒臭がり。一応無味無臭)に口付けを、と思ったのだ。
それで「全身ゴワゴワ電流」が走らなかったり、強烈な「やっちまったな~!!の吐き気」などが起きなかったりしたら、きっと、私は元に戻るハズだ。そう考えたのだった。
ちゃんとした、夫婦に戻れる。しかも、子供付きで。