新・鉢植右から3番目


 私は思いっきり瞬きを繰り返す。えーっと、何が?キスが?それとも私達の関係が??

 ・・・日本語がわからない。誰か私に通訳をオネガイシマス。仕方ないから、目の前の宇宙人に質問することにした。

「・・・終わった・・・って、何が?」

 私はまだかなりマヌケな顔をしていたと思う。私から離れてゆっくりと立ち上がったヤツが、眠そうな目を擦りながら言った。

「ホルモンの嵐。俺に触られるの、嫌だったんでしょ」

「・・・」

「今は拒絶反応なかったな」

 ・・・だから、嵐は過ぎたのか?って質問が・・・きた、わけなのね。そして終わったのは、私のホルモンの嵐だって言ってたのね。

 ようやくまともに頭が働きだした頃、ヤツはフラフラと寝室へさっていくところだった。私はハッとして、床に座り込んだままの体勢でヤツの背中へ叫ぶ。

「ね・・ねえ!」

 もう完全に眠そうな顔をして、ヤツがゆっくりと振り向いた。

「あ──────あの・・・ごめん、ね。その、ずっと避けていて!」

 何とかいえた!私は実に情けない格好だったけれども、自分が誇らしく思えた。やった、ちゃんと謝れたって。

 ところがヤツは、ほとんど反応がなかった。

「・・・別に、謝らなくていい」

 ここで大きな欠伸を二つ。それからほとんど閉じた目を何となくこちらの方へ向けて、のたもうた。

「面倒臭いことなくて・・・むしろ、よかった」


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