新・鉢植右から3番目
ヤツの視線を追って桜が寝ていることに気がついた私は、あらあらと声を出して桜に近寄る。
「あなたが疲れるのは、よく判るわ。お休みしようね~」
声をかけて、抱き上げてベビーベッドに寝かしてやった。すやすやと眠る赤ん坊の頬をなでる。白くてぷにぷに。うーん、いい匂いだわ、赤ん坊って。
ベビーベッドを覗き込んでいると、肩をポンポンと叩かれた。
え?と振り返るとヤツが後ろに立っている。
「ちょっと」
「は?」
「いいから」
何が、いいから?私が怪訝な顔をしていると、ヤツはスタスタと寝室の方へ歩いていく。ちょっとって、え?何よ来いってこと?
私はとりあえず後を追いかけながら、ヤツの背中に文句をかける。
「ねえ、宝探しは~?」
もしかして、もう判ったのだろうか。迷いもせずにさっさとドアを開けるヤツを追いかけながら、私はちょっとドキドキした。探すのにうんざりして隠し場所を推理したのかも。それを確認しにいくのかも。もしかして、プレゼントの在り処がバレた────────?
私がドキドキして寝室に入ると同時に、手を引っ張られた。は?なんて言葉を出す余裕もなく、驚いたままの私はベッドの上。そして上からヤツがゆっくりと落ちてくる。
「あらーっ!?ちょっとちょっと大地くーん!!?」
うっきゃあー!!一体何事!?
慌てた私が叫ぶ。ヤツは力の入った両手で暴れる私の手をシーツへ縫い付けて、ボソッと言った。