プライベートレッスン 〜 同居人の甘い素顔

お父さんはしばらく「うーん」と小さな唸り声をあげながら腕組みで思案したあと、なにかをひらめいたように目を輝かせた。


「それなら、うちで働くといい」

「……え?」


うちって……もしかしてセブンスゲート?
お父さんの会社で?

清美おばさんも虚を突かれたような顔でお父さんを見た。


「セブンスゲートなら私も安心だ。ねえさんだって、それならいいだろう?」


お父さんが承認を得ようと清美おばさんを見る。
おばさんは思案顔で私を見ていた。


「でも、お父さん、社長の娘がいたら、ほかのみんなが働きにくくなるんじゃないかな」


私が逆の立場だったら、一緒に働くのは遠慮したい。
なにかヘマをしないか、もしも失敗をした場合、それが直接社長の耳に入ったりしたら大変だと仕事どころではなくなってしまうんじゃないか。
そうなると、扱いにくいこと、この上ないと思う。


「それなら、私の娘だということは伏せておけばいい」

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