プライベートレッスン 〜 同居人の甘い素顔

「うちのお父さんの友達の息子さんなんでしょ?」

「……はい」


なんだか急に雪さんの反応が鈍くなった。
両手を前に組んで、私から不自然に目を逸らす。

私、なにか変なことでも聞いた?


「祐希のお父さんと友達だったの?」

「……あ、はい……そう、ですね」

「違うの?」

「あ、いえ、そうでございます、そうでございます」


同じ言葉を何度も繰り返す、ぎこちない言い方だ。
雪さんにしては珍しく挙動不審だった。
私に聞かせられないことでもあるというのか。


「ささ、早くお食べにならないと硬くなってしまいますよ」


急に居心地が悪くなったらしい雪さんは、「では、失礼いたします」とそそくさと部屋を出て行ってしまった。

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