プライベートレッスン 〜 同居人の甘い素顔

「……まさかとは思うけど」

「はい」


慎重に出る私とは対極に、美月はテーブルに両肘をついて可愛らしく頷いた。
ごくりと唾を飲み込む。


「人事の……倉田部長?」

「ピンポーン」


美月は人差し指を立てた。


「うそでしょー!?」


嫌でも大きな声が出る。
周りのテーブルにいる人たちを驚かせてしまった。


「だ、だ、だって……」


倉田部長といったら、四十代のはず。
はつらつとはしているけれど、お腹もポッコリ出た中年体形だ。

こういっては失礼だが、美女と野獣ならぬ、美女と“珍獣”。
それこそギャップがありすぎる。


「見た目はまぁ、いいとは言えないですけどね。中身は最高にセクシーなんです」


美月の口から“セクシー”という単語が出てくることにまず驚いた。

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