プライベートレッスン 〜 同居人の甘い素顔

彼女がうっとりした目をするものだから、倉沢部長がセクシーなところを想像しようと試みて、途中で爆発を起こしたようにボンッ! と消え失せてしまった。
つまり、想像不可能。


「それに名字だって!」


美月は江橋だ。


「仕事とプライベートで使い分けていますから」


まぁ、今どきはそういう夫婦も多いだろう。


「何歳差?」

「ちょうど二十」


うわっ……若い父親だといってもおかしくない年齢差だ。
もうびっくりしすぎて、なにがなんだかわからない。

美月は、頭を左右に振る私を余裕の表情たっぷりに見ていた。


「……取り乱してごめんね」

「いえいえ。だいたいみんな驚きますから慣れました」


そうでしょそうでしょ。
美月の旦那様が、あの倉田部長だなんて言われて、驚かない人がいたらここへ連れてきてほしい。

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