プライベートレッスン 〜 同居人の甘い素顔
プライベートレッスンの夜
それから連日のように、家で顔を合わせれば清美おばさんに「どうする?」攻撃を受けることとなった。
「そのうち」と適当に誤魔化すのも、さすがに効力を失いつつある。
あまりにもお相手の“鴨川真人(かもがわまさと)さん”という名前を聞かされ続けて、もうこれでいいかも半分諦めの境地にも入っている。
私がその人と結婚したら“鴨川日菜子”。
カモのヒナみたいじゃないか。
なんの冗談だ。
何度となくそんなことを考えながら、今夜もまた清美おばさんに“初顔合わせ攻撃”を受けていた。
おかげでこの頃すっかり食欲不振だ。
「清美さん」
珍しく、祐希が間に割って入る。
「間もなくエンジェルレインの新規店舗がオープンを迎えます。その件に関しましては、日菜子さんも僕のサポートで忙しくしています。ですので、お相手とお会いするのは、店のオープンが済んで落ち着いてからではいかがでしょうか」
お父さんでは制することのできない清美おばさんが、祐希の言うことに素直に聞き入っている。
お父さんよりよっぽど信頼しているということか。
とにもかくにも、祐希は清美おばさんのお気に入りなのだ。
それはこういった場面で如実に現れる。