プライベートレッスン 〜 同居人の甘い素顔
それどころか、胃のあたりがゾワゾワとした。
本当に好きな人に触れることも叶わずに、このまま一生を終えるのはいやだ。
それならいっそのこと……。
――よし! 決めた!
意を決して立ち上がる。
向かうは、ふたつ部屋を挟んだ、その隣。
同じ階にある祐希の部屋だった。
ノックをすると返事のないままドアが開いた。
「……日菜子さん」
私が祐希の部屋を訪れることはめったにない。
彼は面食らっているようだった。
「どうかしましたか?」
「お願いしたいことがあるの」
半ば強引に中へと入る。
祐希の部屋は私の部屋より少し広い。
ダークブラウン系で統一された落ち着いた雰囲気だ。
片隅には身体を鍛えるためのダンベルやトレーニングベンチが置かれている。
毎朝のジョギングのほかに、こういうことをして鍛錬しているのか。