プライベートレッスン 〜 同居人の甘い素顔

「絶対に結婚する、と。……ミシェルブルーの御曹司と必ず結婚すると」


祐希は、私の気持ちがブレることを恐れているのかもしれない。
肌を触れ合わせることで、私の気が変わるんじゃないかと。

そうしたら困るのは祐希だ。
お父さんと清美おばさんの手前、そんなことがあってはならないと。
私は頷いた。


「うん、結婚する。……約束します」


それを守りさえすれば、祐希が望みを叶えてくれるのなら。

祐希は私との距離を詰めて座り直した。
膝が触れただけで、鼓動が大きく弾む。
彼の手がためらいがちに私に伸びてきた。
身体が強張る。

遠慮がちに頬に触れた祐希の指先は、とても冷たかった。
滑らかな指が私の頬をなでたあと、顎を持ち上げた。


「……ひとつお願いがあるの」


顔を寄せてきた彼を見つめる。


「日菜子って呼び捨てにしてほしい。それから、敬語もやめて」


祐希が訝しげな顔をする。

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