プライベートレッスン 〜 同居人の甘い素顔
守る約束は強固に
翌朝もまた、祐希はジョギングにも朝食にも姿を現さなかった。
雪さんの観察によると、朝早く出かけて行ったとのことだ。
始業開始ギリギリで第二事業本部に着くと、祐希は予定をホワイトボードに書き込んでいるところだった。
このあと七号店に向かうらしい。
真壁の欄に“七号店”の“七”を書いたところだった。
「真壁さん、ちょっとよろしいでしょうか。オープニングイベントのことでご相談したいことがあるんです」
「……わかりました。ではあちらで」
祐希は立ちミーティングスペースを指差した。
そこは部署内に背の高いテーブルが三つほど並んだスペースで、自由に打ち合わせに使用できるように設置されているらしい。
座らずに立つことで、余計な無駄話を排除する効果があるみたいだ。
「オープンの日に、お店でコーヒーを無料で振る舞うというのはどうでしょうか」
早速、話し始める。
会社では祐希に対して私も敬語だ。
祐希は「コーヒーを?」と聞き返した。
「ピンクブルボンというコーヒー豆をご存じですか?」