プライベートレッスン 〜 同居人の甘い素顔
感情がこもっていないことに自分でも驚いた。
初顔合わせをいつどこでやろうが、たいして変わらない。
結婚が決まっているのなら、いっそのこと結婚式まで会わなくてもいいんじゃないかとさえ思ってしまう。
決意したこととはいえ、ずいぶんと卑屈だなと思った。
「それにしても、祐希さんも出てしまったし、これで日菜ちゃんもこの家からいなくなると、本当に寂しくなるわね。――そうだわ、いっそのこと、お婿さんにしてもらおうかしら。ね、いい考えじゃない?」
「先方の意向もあるだろうから、勝手に話を進めてはだめですよ、ねえさん」
「やぁねぇ、わかってるわよ。ちゃんと意見は尊重するから心配しないで」
お父さんに意見されて、ちょっと不服そうだ。
ただ、本当にわかっているのかは不安なところだ。
なんせ、我が道を行くのが常だから。
それがきっかけで先方の機嫌を損ねて、破談になってしまえばいいのにと、つい期待をしてしまった。
そんなのは無理な話だ。
それに、ダメになったところで、どっちにしろ別の相手をあてがわれるだけ。
結局のところ、私には牧瀬家とセブンスゲートを守れるようなうしろ盾を持った相手以外との婚姻はあり得ないのだ。
雪さんは、なにやら意味深に私を見ていた。