プライベートレッスン 〜 同居人の甘い素顔

「日菜子さんって秘密主義ですよね」

「そんなことないよ」


笑って返しながら立ち上がる。
このまま社員食堂へ向かうことで、美月の気を逸らしてしまう魂胆だ。


「それじゃ、どこに住んでいるんですか?」

「唐突だね。会社から電車で二十分くらいのところ」

「その抽象的すぎる説明はなんですか」


美月がプッと吹き出した。


「日菜子さんはツッコミどころがたくさんですね。探り甲斐があります」


できることならば、探ることに生きがいを見つけないでほしい。
私が社長の娘だということは内緒にしておきたいから。

そこで社員食堂へ着くと、美月の興味は私から定食メニューへと移り変わった。

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