プライベートレッスン 〜 同居人の甘い素顔
それなら、どうしてこんなところに呼び出したんだろうという疑問は残るけれど。
「そうだ、祐希」
あまりにも沈黙が長いから、別の話題をみつけてきた。
「いよいよ私、ミシェルブルーの御曹司と会うことになったの」
日程も場所も未定なのは内緒だ。
祐希は一度大きく瞬きをしたあと、私を凝視した。
「それでいいんですか」
試すような言い方だった。
「いいも悪いも、そう決められていたんだから仕方ないよ」
それに、祐希だって私に約束させたじゃないか。
必ず結婚はするようにと。
キスは教えるけど、結婚を止めにすることはしないようにと。
私はその言いつけを守るだけ。
「ほかに用事がないなら、仕事に戻るね」
祐希を残し応接室をあとにした。