プライベートレッスン 〜 同居人の甘い素顔

◇◇◇

「日菜子様、お茶でもいかがでしょうか」


清美おばさんと入れ違いで雪さんがやってきた。


「日菜子様お気に入りのピンクブルボンは切らせてしまったので、紅茶にしてみました」


ティーポットとカップをテーブルに並べる。


「どうもありがとう」


カップを持ってからソファに深く座った。
柑橘系の香りがする。


「ピーチ?」


ひと口飲んでから尋ねると、「いえ、マスカットでございます」と雪さんは人差し指を立てて顔のそばで横に振った。


「ひどくお疲れのご様子ですね」


雪さんに顔色を探られて、なんとなく目を逸らす。


「今週末、よろしいんですか?」


何度となく彼女が私にする確認だ。

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