プライベートレッスン 〜 同居人の甘い素顔
このまま結婚の話を進めていいのか。
聞かれるたびに答えは決まっている。
「……うん」
それ以外に私が選択できるものはない。
「私はてっきり、お断りするものとばかり思っておりました」
「どうして?」
何度聞かれても、迷ったような素振りを見せたことはないのに。
「日菜子様が朝帰りをされたので、これは祐希様とうまくいったのかと」
「ちょ、ちょっと待って」
どうしてそのことを?
私が帰ったのは、みんながすっかり寝静まっている午前四時だ。
電気は点けなかったし、物音ひとつ立てた覚えもない。
誰にも気づかれていないと強い確信があった。
「日菜子様のお帰りが遅いので、午前二時あたりまでは明かりを点けてお待ちしていたんです。それから自室に籠っておりましたら、日菜子様が帰られた気配がありまして」
だから雪さんはいったい何者なのだ。