プライベートレッスン 〜 同居人の甘い素顔
そういえば、このことについてお父さんがどう考えているのかは聞いたことがない。
おばさんのように政略結婚を推し進めている様子は見たことがないからだ。
私が嫌だとお父さんに言ったら、それを聞き入れてくれないだろうか。
そんな期待を抱いたものの、清美おばさんの言うことに逆らった試しのないお父さんに、反旗を翻せと言うのは酷というものだ。
だから、きっとどうにもならない。
私が、おばさんの言う“然るべき人”と結婚することは、それこそ十年以上も前から決められていたことだから。
いや、もしかしたら私が生まれたときから、この道は決まっていたのかもしれない。
だからもう、逃れられない。
諦めの境地だった。