プライベートレッスン 〜 同居人の甘い素顔

どこからそれが……?

美月が探り癖はいつものことだけれど、今日は遠慮が前面に出ていた。
聞きづらそうに俯き加減で私を見た。


「実は昨夜、インサークルトークでそんな情報が流れてきたの」


美月はそう言いながら、自分のスマホを私に見せた。

インサークルトークは社内の従業員を繋ぐネットワークで、会社のパソコンや個人のスマホと連携しているツールだ。
なにか情報があれば、それを使って社内の従業員全員にいっせいに送れる。
当然ながら、私もそこに入っているのに私には届いていない。

美月が見せてくれた画面には“第二事業本部の牧瀬日菜子は社長令嬢です。同部署の真壁祐希と付き合っている”と書かれていた。

そして続けざまに、写真が数枚添付されていた。
夜の街に二人の男女。
遠くから写したらしく大きく広げてみないとよく識別できなかったが、それは祐希と私だった。

歩道で話しているところが二枚。
見ようによっては言い争っているようにも見える。
ほかには、祐希が私をタクシーに押し込めるようなシーンの写真があった。
洋服と様子から見て、この写真は全部、この前のオープンの夜に撮られたものだ。

いったい誰が……?

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