プライベートレッスン 〜 同居人の甘い素顔
「やだな。そんなことしないのに」
私には密偵は無理。
朝帰りの抜き足差し足も、雪さんにバレてしまう私には。
すぐボロが出てジ・エンド。
雪さんなら適任だろうけど。
「そのトークを送信したのってなんて人?」
「それが、わからないの」
「わからない?」
IDでログインをしなくてはならないから、個人を特定できるはずなのに。
「それが、営業部に一台ある共通パソコンから送信されていて」
美月はそう言いながら、自分のスマホを私に見せた。
確かに送信者の欄には“営業部”とだけしかない。
誰が送ったのか特定されないようにそうしたんだろう。
「でも、営業部の誰かであることは確かですね。そのパソコンのパスワードは営業部員しか知らないはずだから」
姑息なことをする人だ。
あの夜のあの人がそんな人だったとは。
ついて行かなくて本当によかった。