プライベートレッスン 〜 同居人の甘い素顔

私が誘いを断ったことが癪に障ったのか、祐希が失礼とも言える発言をしたことが気に入らなかったのか。
どっちにしろ、私たちを貶めようとしていたことは間違いない。


「ところで、そのメッセージって社長や専務にも届いてるのかな」


もしもふたりの目に触れていたら、また厄介なことになってしまう。
“祐希と付き合っている”だなんて。


「ちょっと見てみる」


美月はトークの詳細をタッチして、受信者一覧をチェックし始めた。
全従業員ともなれば、それこそ膨大な人数だ。
それでも数十秒後、美月は「社長と専務は入ってないみたい」と言った。

私同様に、お父さんと清美おばさんも受信者から外されたようだ。
名前を伏せているとはいえ、さすがにそこまでの度胸はなかったのだろう。


「――あ、ねぇ、美月、あの人なんていう人?」


噂の人物の偶然の登場だった。

咄嗟に美月の手を引っ張って、柱の陰に身を隠す。
彼女は何事かと驚きに目を見張ったあと、柱からそっと顔を出した。

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