プライベートレッスン 〜 同居人の甘い素顔
素顔は危険な恋愛ハンター?


そして迎えた初出社の日。

お父さんと清美おばさんは私より緊張しているらしく、社長の娘ということは内密にとの話だったはずが、ふたりの乗る運転手付の車で送ると言ってきかなかった。
最後には電車で行くことを納得してくれたものの、祐希のそばを離れないようにときつく言い聞かされた。

私は子供じゃないと言いたいところだが、そこはひとまず頷く。
ふたりを納得させるためだ。
実際には祐希と一緒に行動することを避け、彼から数メートル離れたうしろをついていくことにした。


初めて来たセブンスゲートの本社ビル。
それは最寄駅から歩いて三分という好立地だった。
資料によれば、地下一階の地上二十階建て。
オフィス街には似たようなビルが建ち並んでいるから、別段珍しいわけでもない。

入口の自動ドアを抜けると、だだっ広いフロアが現れた。
真向いには受付がある。

薄いピンク色の制服を着たふたりの女性が、揃って頭を上げ下げしている。
出勤してくる社員に「おはようございます」と挨拶をしているのだ。

前を歩く祐希が振り返って、それとなく受付を指差す。
そこで指示を待てとのことなんだろう。
それに従い受付の前に立った。


「おはようございます。本日から出社することになった牧瀬と申します。人事部長にお取次ぎをお願いしたいのですが……」

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