プライベートレッスン 〜 同居人の甘い素顔

「そうなんですね。同じくらいの歳の娘さんがいたように聞いていたから、もしかしたらと思ったんです」


ギクリとしたと同時に申し訳ない気持ちになる。


「ところで何歳ですか?」

「年が明けたら二十六歳になります」


江橋さんの質問に答える。


「それじゃ私と同じ歳ですね」


彼女がパッと顔を明るくさせた。


「そうなんですか」


私より落ち着いているから、てっきり年上だとばかり思っていた。

でも、それも当然だ。
私のように家でなにをするわけでもなく過ごしてきた三年と、社会の荒波に揉まれてきた三年とでは出来が違う。


「それならお互いに名字じゃなくて、名前で呼び合うことにしませんか? ファーストネームは……」

「日菜子です」

「私は美月です」

「敬語もやめませんか?」

「……ごめんなさい。私、この口調は癖みたいなもので……。それから、日菜子さんと“さん”付けも許してくださると嬉しいです」

< 45 / 260 >

この作品をシェア

pagetop