プライベートレッスン 〜 同居人の甘い素顔
「そうなんですね。同じくらいの歳の娘さんがいたように聞いていたから、もしかしたらと思ったんです」
ギクリとしたと同時に申し訳ない気持ちになる。
「ところで何歳ですか?」
「年が明けたら二十六歳になります」
江橋さんの質問に答える。
「それじゃ私と同じ歳ですね」
彼女がパッと顔を明るくさせた。
「そうなんですか」
私より落ち着いているから、てっきり年上だとばかり思っていた。
でも、それも当然だ。
私のように家でなにをするわけでもなく過ごしてきた三年と、社会の荒波に揉まれてきた三年とでは出来が違う。
「それならお互いに名字じゃなくて、名前で呼び合うことにしませんか? ファーストネームは……」
「日菜子です」
「私は美月です」
「敬語もやめませんか?」
「……ごめんなさい。私、この口調は癖みたいなもので……。それから、日菜子さんと“さん”付けも許してくださると嬉しいです」