プライベートレッスン 〜 同居人の甘い素顔
「実はここが初めての就職先なの……」
社会人としてしっかり働いてきた美月を前にして、ちょっと恥ずかしい。
「学校を出てからは?」
「……家事手伝い」
ますます恥ずかしい。
「そうですか。それじゃずっと家に? ……あ、ごめんなさい。私、つい根掘り葉掘り聞いちゃうタイプで。気に障ることがあったら遠慮なく言ってくださいね」
それもまた意外だ。
眼鏡をかけた彼女は、真面目ひと筋。
人のことをあれこれ探るような詮索好きには見えない。
「気に障るなんて全然。ただちょっと恥ずかしいだけで」
首を思い切り横に振る。
「どうして恥ずかしいんですか? 人にはいろんな事情があるんですし。日菜子さんも怠けていたわけじゃないんでしょうから、堂々としていていいと思いますよ」
自分の意見ははっきり言うタイプでもあるみたいだ。
どうしても自分を卑下してしまうところがあっただけに、美月の言葉は嬉しかった。