プライベートレッスン 〜 同居人の甘い素顔

縦に振っていた首を、今度は横に振った。
テーブルにあった紙ナフキンで目元を拭う。


「いないよ」

「そうなんですか? いそうに見えました」


私のどこに彼氏がいそうな気配があるというのか。
不可解なことを言うものだ。


「いたことがないの」

「え?」

「年齢イコール彼氏いない歴」


言ってしまってから後悔した。
いつも祐希に注意されるのだ。
なんでもあけすけに言い過ぎだと。

でも言葉は回収不可能。


「ずっと女子高育ちだったから出会いがなくて」


それなりの理由を述べた。


「それじゃ日菜子さんも危険かな」

「危険……?」


美月の言わんとしていることがさっぱりわからない。
会社勤めに襲い掛かる危険って?

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