プライベートレッスン 〜 同居人の甘い素顔

「……ううん、それはない。だって――」


慌てて口をつぐむ。


「“だって”なんですか?」

「な、なんでもない」


祐希とは何年も同じ家に暮らしてきているのだ。
これまでそんな気持ちを抱いたこともないのに、今さらあるはずがない。
あったら、それこそ天変地異と同等。

ただ、それを美月に言うわけにはいかない。
機密事項だ。


「タイプじゃないですか?」

「あ、うん、それ!」


美月のセリフに乗っかった。


「毒舌だし」


手厳しすぎて涙が出そうになることもしばしばだ。


「それでもみんなコロッといっちゃうんですよね」


私の言葉を受けたあと、美月は不思議そうに呟いた。

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