プライベートレッスン 〜 同居人の甘い素顔
◇◇◇
「イタタタタ……」
冷たいアスファルトに足を投げ出した。
「まったく……。日菜子さんはどうしてこうも……」
「“こうも”なに?」
「いえ、改めて言うまでもないでしょう」
いちいちカチンとくる言い方だ。
確かに、ジョギングの最後のほうはほぼ毎日祐希に引っ張ってもらっているような状態だけど、仕方ないじゃないか。
転んでしまったのだから。
軽やかに走っていたはずが、足の上げ幅がどんどん落ちていき、たった五ミリの段差に躓いた。
膝小僧をアスファルトに強打だ。
なんてドンくさいとは自分でも思う。
「見せてください」
私の目の前に祐希が跪く。
見たところ、血はほとんど出ていない。
「なんだ、これくらいなんてことないじゃないですか」
「見た目で決めないでよ。お皿が割れたかもしれないよ?」