プライベートレッスン 〜 同居人の甘い素顔
「日菜子さんのことです。割れたら泣き叫んでいますよ」
まるで、我慢のできない子供みたいな言い方だ。
「ほら、立ってください。行きますよ」
「えー? 無理だってば」
そう言ったにも関わらず、私の意見を無視して両手を引き上げられる。
ほぼ祐希の力ひとつで立ち上がらされた。
「足をトントンやってみてください」
祐希を真似て、恐る恐る交互に足を突く。
「――痛い」
これは決して大袈裟に言っているわけではない。
本当に痛いのだ。
祐希から盛大なため息が漏れ聞こえた。
顔を上げてみれば、これまた豪快なあきれ顔。
眉なんて、地面に向かって垂直になるほどだ。
参ったな。
祐希の前じゃ、いつだって無様な女ときている。
「仕方ないですね、ほんと」
ため息混じりに祐希が言った。