プライベートレッスン 〜 同居人の甘い素顔

わざとらしさの欠片もない、心の底から漏れたような吐息だった。
そして、どういうことなのか私に背を向けてしゃがみ込む。


「どうしたの? ストレッチからやれってこと?」

「違います」


下ろした両方の手の平をこちらに向けて、指先をヒラヒラと動かした。

まさか……?


「ほら、早くしてください」

「無理だよ、私重いし!」


おんぶなんて恥ずかしい。


「おんぶが嫌なら、お姫様だっこにしますか?」


今度はサッと立ち上がり、広げた両腕を前に出した。


「そっちのほうがやだ!」


おんぶよりずっと恥ずかしいじゃないか。
お尻を突き出すおんぶの体勢は確かに情けないが、お姫様だっこはどうしても特別感が漂う。

祐希の腕に抱かれるなんて……相当恥ずかしい!
考えただけで頬がチリチリだ。

< 61 / 260 >

この作品をシェア

pagetop