プライベートレッスン 〜 同居人の甘い素顔

ほんの数十センチ高くなっただけで、視界が変わるものだ。
祐希から頭半分上に出ると、自分がものすごく巨人になった気分になる。

それもそのはず。
百九十センチ近い高さなのだ。
なんとも気分がいい。

そうしていつもと違う景色を堪能し終えると、急に祐希の身体に神経がいった。
なんとなく想像はしていたものの、やたらと堅い背中。
手を置いた肩も、やけに強靭な筋肉を感じさせる。
鍛え上げられた肉体だということは、こうして直に触れることでさらに実感させられた。

祐希に対して急に“男”を意識してしまい、妙に心が騒ぎ出す。
鎮めようとするほどに、勝手な動きをするからいただけない。

せめて祐希に鼓動が伝わらないようにしようと身をよじると、「落とされたいんですか?」と祐希に脅された。


「いや、なんかその……」


――そうだ。


「ほら、昔もこうして祐希におんぶしてもらったなーって思い出して。そしたらなんだか懐かしいというか、むず痒いというか……」


言い訳をつらつらと並べ立てた。

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