SaltyTriangle*
prologue*【梓side】
季節は秋。高校1年生の10月。
今年の秋は……ううん、今年の秋も残暑激しく、10月になった今でも暑い日がちらほら。
今日も太陽が燦々と輝いて、日中には気温が27度まで上がるらしい。
私、茅野梓(かやの あずさ)は、朝からクラスメイトの男子に混じってサッカーをやっていた。
「茅野!そっち行った!」
校庭に男子の声とボールが上がる。
私はボールをしっかりと視界に捉えながら駆け出した。
「おっけ、任せて!」
頭上から落ちてくるボールをトラップして、そのままダイレクトにゴールを狙う。
4人という少人数でやってるため、ゴールキーパーはいない。
よし、こんなん楽勝♪
私の足から放たれたボールが、ゴールネットを揺らした。
「よっしゃー、3点目〜♪私の勝ち!ジュースとお菓子よろしくね〜。」
私が男子とスポーツをやると、なぜか必ず賭けが入る。
まぁ、負けたことは無いわけだけど。
「くっそ、またやられた。茅野、お前本当運動神経いいな。」
「てか、もはやその身体能力、女子じゃねーだろ。」
膝に手をつきながら肩で息をする男子2人を他所に、チームを組んでいた男子とハイタッチをする。
「負けた人に何言われても響きませーん。」
そう言って、いたずらに笑ってみせた。
1つに束ねたセミロングの髪をほどいて、校舎に向かって歩き出す。
時刻は8時30分。
今登校してきたであろう生徒のなかに、知ってる顔を見つけて駆け寄った。
「楓!」