騙し愛
「おい、藤川。俺放ったらかしで彼女とラブラブかよ」
そう嫌味っぽく言い放ったのは隣にいた仲野衛(なかのまもる)。
因みに藤川ってのはさっきチョップしてきたコイツの事だ。
藤川康太(ふじかわこうた)。部活が同じで結構憎ったらしい所もあるけどとりあえず友達だと思う。
結構なイケメンさんで案外女子からの人気がある。らしい。
私からしたらただの生意気な野郎だ。
「まも。やめてくれ。こんなヤツ彼女にしたら俺の身が持たねぇ…」
藤川のやつ凄く険悪な顔して言いやがった。
「待って。その言葉そのまま返す。」
私は負けじと手を肩の高さに挙げて反論する。
「あんだと!!」
勿論あほな藤川は食ってかかってきたけどそんなの知らない。
私の目にはチカが映りこんだ。
「あ、チカだ!んじゃ!またね。」
私は軽く2人に挨拶するとチカのところに一目散に駆け出した。
「、!おい!てめっ!!」
後ろでは藤川が私を止めようとしたのかそれが叶わなく、
「藤川君ドンマイ♡」
と、仲野君に励まされる声だけが聞こえた。