騙し愛
目の前で転けたあいつをみながら心の中でざまーみろと呟く。
「あーあ。行っちゃったね凛ちゃん」
隣にいたまもが寂しそうに言った。
凛ちゃんとはさっき俺に突進してきた凶暴ゴリラの事だ。
浅野凛(あさのりん)。同じバスケ部でちょくちょく男バスの練習に混ざって対等にゲームしたりしてる。多分あいつ性別偽ってる。
まぁなんだかんだ話は合うやつなんだけどあまりに仲良くしてるから周りからは付き合ってるんだろとか野次が飛んで来てかなりうっとおしい。
「いいよなー藤川は、凛ちゃんと仲良くて〜
本当に付き合ってないのかよ」
いつも一緒にいるまもでさえこう言ってくる始末。
バスケ部はこれの比にならないほどもっと五月蝿い。
特に先輩方がな。
「付き合ってるわけねーだろ。あんな凶暴ゴリラ」
ケッと嫌味ったらしく返事をしてやるとまもは考え事をし始めたのか静かになった。
何だか嫌な予感がする。
「…………じゃあ俺、
凛ちゃん狙っちゃおっかな。」