#恋·恋
ドアノブに手をかけ、ゆっくり開けた。
――やはり思った通り。ここはリビングとダイニングだった。
何畳あるのかわからない広々とした部屋。
ベージュの壁と床に、黒とグレーを基調とした家具。
左側に黒のテーブルを囲むようにコの字型にグレーのソファ。そして右側に黒色の大きなキッチンがある。
家電は、冷蔵庫とコーヒーメーカーのみ。
テレビもなければ炊飯器も電子レンジもない。
そんな殺風景な部屋をぐるりと見渡した。
だが、誰もいなかった。