#恋·恋



「俺と蓮は幼馴染なんだ。小さい時からずっと一緒だけどアイツ見ての通り他人に興味が無くてな。もちろん、女にも興味はない。今まで一度も話すことも目を合わすこともしなかった。店でも、指名なんて一度もない。…だけど昨日、ひとみちゃんを指名して飯も行って、挙句に家にも入れた。蓮の行動に俺だけじゃなく、みんなびっくりしてたよ」

コーヒーが出来たのかキッチンに戻った魁斗の背を見つめ、少しの間ぽかんとした。


『……意味が分からない』

───なぜ嬉しそうなの?

「え?」

マグカップ2つ持って現れた魁斗は私の声に立ち止まった。

『…私達は昨日初めて会いました。なのに私を気に入った?…意味がわかりません』

さっき魁斗は嬉しそうに話してた。

「えっ待って、」

『……私のこと何も知らないのに』

心と視界がだんだん黒く染まっていく。

「ひとみちゃん、どうしたの?」

『…ごめんなさい、やっぱり帰ります』

これ以上話すと、自分が壊れそうだ。



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