まさか…結婚サギ?
見目のよい人は…本当に安物を着ていても、様になるんだな…と、由梨は助手席に座る貴哉をみた。

ぱっぱっとジーパンと(切る必要なし。)シャツとカジュアルなジャケットを選んでいるが、ありがちなコーディネートでもまるで雑誌を見ているようだ。
パジャマがわりのスウェットも購入して泊まる準備も万端である。

父の車はコンパクトカーで、貴哉には少し窮屈そうに見える。特に、脚が…。

「どこにいきますか?」
「水族館でもいってみようか?」
「いいんですか?」
「今日も泊まっていいそうだし、ゆっくり見れるだろ?」
なんだか貴哉の雰囲気には合わない気がするけど、由梨の
テンションは上がってくる。

花村家に戻り、荷物を置いて貴哉は着替えを済ませて出掛けようとすると

「由梨、貴哉くん、車使っていいから」
と父が声をかける。

自宅からデートへ出掛けるなんて…なんだかおかしな気分である。

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